デューデリジェンスとは何か?

不動産の取引をする上で、例えば金融機関がその不動産に抵当権を設定して融資をするというケースや、あるいは証券化をして投資家に販売をするというケースなど、不動産の取引をする上で、その不動産を法的な調査、物理的な調査、経済的な調査をすることを、デューデリジェンスと言います。

例えば、法的な調査というと、投資対象の不動産に賃借権や別に抵当権が設定をしている場合に、それらの権利を外さなくても、対象になるのかどうか、外すということになった場合に、法的に正当性を主張できるのかどうかというようなことを調査したり、あるいは、弁護士と相談をしたりして、最終的な結論を出します。

また、経済的な調査という場合には、再販価格がいくら位になるのかとか、あるいは賃料収入がどの程度見込まれるのか、投資利回りが何%になるのかどうかというようなことを検討したり、想定している賃料収入や再販価格が低い場合には、どの程度付加価値をつければ、想定している収益が見込めるのかどうかといった、経済価値を調査する手段でもあります。このように、不動産を調査する場合には、主にこの3つの調査があるのですが、この内、物理的調査に含まれるものとして、環境デューデリジェンスがあります。

環境デューデリジェンスとは

不動産は土地建物そのものであるために、場所に完全に帰属するという特性があります。つまり、所有者や関係者の思惑で動かすということは絶対にできません。したがって、その土地や建物を所有した場合には、その状態を受入ざるを得ないということになります。環境デューデリジェンスは、その土地建物において環境的なリスクを調査することで、その不動産の正当な評価をするということが最大の目的です。

つまり、仮に土地の売買をする上で、その土地が汚染されているということを知らずに、その土地を購入した場合に、購入した買主やその土地を購入するための融資をするために抵当権を設定した金融機関は、土地の価値が下がってしまうので、大変大きな損害を被ることになります。もちろん、売買契約をする以前に重要事項説明をする場合には、その汚染している状況を説明する義務が売り主にはありますけれども、仮に悪意の売り主であった場合には、そういう説明をしない可能性もあります。そこで、そういう状況を回避するために、買主が土地を購入する前に事前に調査をして、その時点で適正な価格を算出するということも環境デューデリジェンスの活動に含まれます。

実際に、その土地において、環境的なリスクの有無を抽出して、そこから経済的な価値を算出して、通常価格に対して、実際の環境リスクで算出した金額を通常価格から差し引くことで、その不動産の適正な価格が算出されます。この環境的なリスクを意識するということは、2003年に土壌汚染対策法が施行されたことで、更に不動産の環境に対する評価が、土地取引などの不動産価値評価において強く認識されるようになりました。